話の聞き方

f:id:toshiniois:20200806165435j:plain

 

朝づとめの後に詰所で行われる「朝席」に参加していたときのこと。そこでは、毎朝2人ずつ、5分程度のひとこと話をすることになっています。その日、ある女子青年Mが八足の前に座り、話を始めました。

 

私の大学の後輩で、普段から親しくしている彼女は、話上手、勇ませ上手。途中まで「ふんふん」と聞いていた私ですが、ある言葉に引っかかりました。

 

「しっかりと心におとしいれて……」

 

「ん? 心に“おとしいれる”ってなんだ? 心に治めて、とかじゃないのか?」

言葉遣いに多少のこだわりがある私は、相手が年下であることも手伝ってか、そのフレーズが気になって、あとの話が全然入ってこなくなってしまいました。話のあと、一体何の話をしていたのか分からないほどに、その言葉は私の心を支配したのです。

 

数日後。彼女の話のことなどすっかり忘れていた私は、二代真柱様の訓話集を読みふけっていました。そして、あるお話の冒頭で、次の一文に出合います。

 

 

私の話したい事は、言葉尻じゃなしに、勝手な注文だが、心を受け取る聞き方を勉強してほしいのであります。

「直属教会長に対するお話」(昭和26年3月27日)『真柱訓話集』第11巻

 

 

音もなく、スッと胸に刺さりました。数日前、私はまさに、「言葉尻」にとらわれて「心を受け取る聞き方」ができなかったのです。さすが、二代真柱様……。胸の内を見透かされたようでギクリとしました。

 

そのまた数日後、私が「朝席」に登壇する日が来ました。かの女子青年Mも聞いています。私は正直に、彼女のあるフレーズが引っかかってまともに話を聞けなかったこと、二代真柱様のお話を読んで反省したことを話しました。彼女は笑顔で、言葉尻にとらわれることなく、「ふんふん」と聞いてくれました。

 

自分の失敗を材料にされたにもかかわらず、「私のことを話してくれてありがとうございます!」と明るい彼女。話を聞く基本的な態度を教えてもらいました。